日本大学歯学部ワンダーフォーゲル部愛唱歌

 

想い出の唄

 

山小屋に灯がともる頃 どこからともなく

若人の唄がきこえてくる

テントの中から、湖畔のこずえから

キャンプファイアーの輪の中から

あの日、あの時唄った想い出の唄

 

「遠き山に日は落ちて」

 

遠き山に日はおちて

 星は空をちりばめぬ

今日のわざをなしおえて

心かろくやすらえば

風はすずしこの夕べ

いざや楽し円居せん

 

「キャンプの歌」(星かげさやかに)

 

一 星かげさやかに

静かにふけぬ

  集いの喜び

歌うはうれし

二 名ごりはつきねど

まどいは果てぬ

今日の一日の幸

静かに思う

   

「いつかある日」

 

いつかある日山で死んだら

古い山の友よ伝えてくれ

母親には安らかだったと

 男らしく死んだと父親には

伝えてくれ いとしい妻に

俺が帰らなくても生きてゆけと

息子達に俺の踏跡が

故郷の岩山に残っていると

友よ山に小さなケルンを

積んで墓にしてくれピッケル立てて

俺のケルン美しいフェイスに

朝の陽が輝し広いテラス

友に贈る俺のハンマー

ピトンの歌声を聞かせてくれ

 

「ご飯の歌」

 

一 ごはんだ ごはんだ さあ食べよ

風はさわやか こころも軽く

お茶わんはうたい 著おどる

楽しいごはんだ さあ食べよ

二 ごはんだ ごはんださあ食べよ

風はさわやか こころも軽ろく

唯も元気だ 感謝して

たのしいご飯だ さあ食べよ

 

「新人哀歌」

 

一、       いいぞいいぞとおだてられ
死物狂いで来てみれば
朝から晩まで飯たきで
景色なんぞは夢のうち

二、       チーフリーダーは爺くさい
サブリーダーは婆くさい
あての部員はエロくさい
メッチェン通れば頭右

三、       二年部員は小生意気で
新米なにかと話好き
地獄の二丁目ワンゲル部
好んで入る馬鹿もいる

四、       家へ帰ればお坊ちゃま
山へ入れば新部員
何んの因果でしごかれる
まぶたに浮かぷ母の顔

五、       いわゆるあの娘はお嬢さま
おれはしがない山がらす
月を眺めてあきらめる
笑ってくれるなお月さま

六、       蝶よ花よと育てられ
何んの苦労も知らないで
ボッカ稼業に身をやつし
泣き泣き登る雪の山

 

「学生時代」

 

一、  つたのからまるチャペルで祈りをささげた日
夢多かりしあの頃の思い出をたどれば
なつかしい友の顔が一人一人浮かぶ
重いカバンをかかえて通ったあの道
秋の日の図書館のノートとインクのにおい
かれ葉の散る窓辺 学生時代

二、  讃美歌を歌いながら清い死を夢みた
何のよそおいもせずに口数も少なく
胸の中に秘めていた恋へのあこがれは
何日もはかなくやぶれて一人書いた日記
木棚に目をやればあの頃読んだ小説
過ぎし日よ私の 学生時代

 

「山の友よ」

 

一、  まきわりめしたき小屋そうじ
みんなでみんなでやったっけ
雪どけ水が冷たくて
苦労したことあったっけ
今では遠く皆んなさり
友を偲んであおぐ空

二、  前傾外傾全制動
みんなみんなでやったっけ
雪が深くてラッセルに
苦労したことあろたっけ
今では遠くみんなさり
友にたよりの筆をとる

三、  唐松もゆる春山に
みんなでみんなで行ったっけ
思わぬ雪にわかんばき
苦労したことあったっけ
今では遠くみんな去り
友の姿を夢にみる

 

「わが淋しき山小舎」

 

一、  山小舎に独り住む悲しさは
やつれ果てし吾が姿
ネズミの往来するよわがふしど
吾が淋しき山小舎よ

ガラスのなき窓 ただ一つあり
すき間もれくる 北風
野獣の足音さえ聞えくる
吾が淋しき山小舎よ

二、  山の麓吾が牧場の小舎
何時も楽しい憩い住む
牛も馬も吾に慕いよれば
淋しさなど消えてゆく

大空には雲影湧湧き出でて
丘にはカモシカの声
森の梢 小鳥の声しげき
君よ来たれ 山小舎よ

 

「街をはなれて」

 

一、  街を離れて野に山に
行方さだめぬ俺達は
ゆうべの星見てつくづくしのぶ
遠い昔の物語 ああ物語

二、  可愛いあの娘は良家のお嬢さん
俺はしがない山男
山を歩いてなぐさめる
笑ってくれるなお月さま
ああお月さま

三、  はかない恋にないたとて
山鳥飛び立つ朝がくりゃ
俺達の心は喜びあふれ
飛び立つ鳥は夢を呼ぶ
ああ夢を呼ぶ

四、  暗い谷間を抜けい出て
峠の緑に出た時は
大きな白いあの蜂に
向って大きくあくびした
あああくびした

 

「山の大尉」

 

一、  山の大尉は傷ついた部下の山岳兵達に
もう一度ここで会いたいと息たえだえにことずけた

二、山岳兵はことづけた「靴がないので歩けない」

  「靴ははいてもはかんでも 山岳兵に会いたいと」

三、陽はさし昇る山の朝 山岳兵は訪れた

  「大尉どの何の命令です われらはここに着きました」

四、「私の体を五つに 切ることを命じます

  初めのそれは皇帝に 部下の兵士の記念にと」

五、「第二のそれは連隊に 大尉であった記念にと 第三のそれはわが母に 息子の兵の形見にと」

六、「第四のそれは愛人に わが初恋の思い出に

  最後のそれは山々に ばらで山をおおうため」

 

「岳人の歌」

一、  星の降るあのコル
グリセードで
あの人は来るかしら
花をくわえて
アルプスの恋歌
心ときめくよ
懐かしの岳人
やさしかの君

二、  白樺にもたれるは
いとし乙女か
黒百合の花を
胸に抱いて
アルプスの黒百合
心ときめくよ
懐かしの岳人
やさしかの君

 

「山びこ」

一、  お花畑で黒ゆりを
つむなとしかってくれた人
ほら らい鳥が鳴いているよ  (繰返し)

l         やさしい声のやさしい目をしたあの人かしら
ヤッホーと呼べばヤッホーと
山の中から かえる山びこ

  ぬれた岩ばでつまずいて
ザックを支えてくれた人
ほら 頂上はもうすぐだよ

三、山のヒュッテで眠らずに
たきびを守ってくれた人
ほら 朝焼けが素惜しいよ

 

「マリモの唄」

 

一、水面をわたる風さみし
    阿寒の山の潮に
    浮かぶマリモよ何おもう
    マリモよマリモ 緑のマリモ

二、晴れれば浮ぶ水の上

  曇れば沈む水の底

  恋は悲しと嘆きあう

  マリモよマリモ 涙のマリモ

三 アイヌの村にいまもなお

  悲しく残るロマンスを

  歌うマリモの影さみし

  マリモよマリモ 緑のマリモ

 

「エーデルワイスの歌」

 

一、(春)雪は消えねど春はきざしぬ

    風はなごみて日はあたたかし
    氷河のほとりを滑りてゆけば
    岩影にさくアルペンブルーメン
    紫匂う都をあとに山に憧れ
    若人の群

二、(夏)エーデルワイスの花ほほえみて
    するどき岩角金色に照り
    山は目覚めぬ夏の朝風
    乱雲おさまり夕空はれぬ
    命のザイルに我が身をたくし
    思わず仰ぐアルペングリューエン

三、(秋)星かげさやかに空澄みわたり
    葉ずえの露に秋たちそめぬ
    金と銀とによそおいこらし
    女神のごとき白樺の森
    くれない燃ゆる山より山へ
    行方も知らずさすらいゆかん

四、(冬)吹雪は叫びたそがれ迫り

    求める小屋のありかも知れず
    ああこの雪山ちょうぢょうとして
    シーロイファーの行手を閉ざす
    ああこの雪原せきばくとして
    寒月するどくシュプール照らす

(結)ああ玲瓏の雪の高嶺に
    心静かに頂に立ち
    尊き山の教えを受けん
    身も魂もけがれは消えて
    永久に輝く白光のうちに
    清き幸をば求めうるらん

 

「星に祈りを」

 

夜空の星に祈りをささぐ

その娘のやさしい瞳の中に

喜びの涙があふれていた

生まれてはじめて知った恋を

求めてはなさずここまで来た

 

遠くつらかった二人の道よ

ここは僕等のパラダイス

愛し合う二人のいこいの園

涙をふいて笑顔をみせて

明日の明るい日差しをあびよう

若い二人の行く手には

今日にもまさる

喜びがある

 

「ワンゲル行進」

 

一、ワンゲル一年の新兵は

  キスを背負って山や川

  めぐる自然も気にせずに

  アゴを出し出しついて行く

 

二、ワンゲル二年の強者は

  どなり騒いで朝夕と

  めぐる自然もなんのその

  行く手知らない無法者

 

三、ワンゲル三年の精鋭は

  歩く姿もスマートで

  めぐる自然も胸に秘め

  余裕がありますあのキスは

 

四、ワンゲル四年の若人は

  すいも甘いもかみしめつ

  めぐる自然のふところで

  かける気合いは親心

 

五、ワンゲル五年の老体は

  パーティも気にせずゆっくりと

    めぐる自然も悟りきり

    昼寝しながらついてくる

 

六、  とうとう出ました女子パーティ
歩く姿はみじめでも
めぐる自然に涙ぐみ
ロマンチックとよいしれる

 

 

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